二人の青年を中心としたフォークロックバンド、Primary
Mini-Band
が74年に自主制作したLPの再発CDです。
74年夏、録音のために茨城県へ合宿して一気に作り上げられたというこのアルバムは、
その場で作曲されたという楽曲も含みながらも、即物的というよりはむしろ瞬間的な閃きを凝縮したかのような、
非常に完成度の高い一枚となっております。
荒川さん、伊藤さんそれぞれの楽曲群は、アコギの伴奏を中心に
多重録音でエレキギター、ベース、ドラム等によってフォークロック的アレンジに仕上げられていくのですが、
良質で普遍的なポップさを持ちつつも
ジャズからの影響も感じさせるアドリブを多く持った伊藤さんのベースとドラムは、
多重録音であることを感じさせないくらいに他の楽器と緩急を持って絡んでいき、
荒川さんの低音ボイスが活きた二人のコーラス等も加わり、
ときに複雑さを持ち、簡単な解釈を許しません。
楽曲もバラエティーに富んでいて、リバーブが効いたドリーミーな曲、
わざと音程がずれていく奇を衒ったかのような曲、ファズギターが熱いフォークロック、
そしてフォークミュージックの域に収まらないような各楽器のアドリブが交差していく長尺曲など、アイディアに満ちた内容となっております。
歌詞の世界観も独特で、「人間のどろどろとした部分に興味があった」という伊藤さんの言葉どおり、
例えば簡単に解釈できるシンプルなラブソングなどといった歌詞はほぼなく、
明るい中にも陰りが見えたり、緊張感があったりと、
これは是非聴き手の方々それぞれに独自の解釈をしていただきたい、そんな個性的な歌詞世界が広がっております。
当時、たったの50枚しか作られなかったというのがあまりにももったいない、まさに埋もれていた名盤です!
オリジナル盤に掲載された当時のライナーノーツを含む歌詞カード、オリジナル盤封入のポートレイトを掲載した見開き紙ジャケ。
※マスター音源に起因するノイズ、音声の乱れが一部ありますことをあらかじめご了承ください。